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クローン病の検査

  • 監修:北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療
    センター長 日比 紀文 先生
  • 関西医科大学 内科学第三講座 教授 長沼 誠 先生

クローン病の診断においては、適切な治療を行うために炎症の程度をみたり、腸管の傷害部分を把握する目的で必要に応じてさまざまな検査を行います。診断後にも、定期的または必要時に検査は行われます。

血液検査

寛解状態の確認や、再燃・合併症を早期に把握するために行われます。病気の活動性の評価、治療法の選択や治療効果の判定に用いられます。

血液検査の種類と正常値

検査名 正常値 意義 異常値の変動
赤沈
(赤血球沈降速度)
男 2~10mm/h
女 3~15mm/h
炎症の有無を知る最も一般的な検査です。クローン病のなかで、赤沈が臨床病勢と最も相関するのは大腸型です。 炎症があると亢進します。
CRP
(C反応性蛋白)
~0.2mg/dL 炎症性疾患や体内組織の壊死の存在により増加します。CRPの上昇はサイトカインの異常を反映していると解釈され、疾患の重症度や経過の指標となります。 活動期には上昇します。
α2グロブリン 6.3~10.6% 血清蛋白分画の1つ。一般的な炎症検査の1つで、クローン病の初診時やしばらく来院していなかった患者さんの炎症把握に用いられます。 急性炎症・慢性炎症で増加します。
血小板数
(PLT)
16.3万~
42.8万/μL
クローン病の活動期には血小板数が増加し、病勢の評価に有用です。寛解しているときには正常値を示すことが多いです。 活動期には増加、寛解時は正常値を示すことが多いです。
血清蛋白 6.5~8.2g/dL
(BML)
栄養状態の指標にも用いられ、吸収不良の場合は低値となります。 吸収不良で低値
アルブミン 3.7~5.5g/dL
(BCG法)
栄養状態の判定に役立ちます。 吸収不良で低値
総コレステロール 130~
220mg/dL
動脈硬化の指標ですが、栄養障害の指標としても役立ちます。 吸収不良で低値

※施設により、多少異なることがあります

便検査

小腸・大腸の出血を検査します。目に見えない程度の微小な出血も調べることができます。ヒトのヘモグロビンを免疫学的に検査するので、食べ物などの影響はありません。その他に細菌培養検査により細菌性腸炎ではないことを確認します。

消化管X線造影検査

病変の位置や状態を正確に把握し、適切な治療内容を決定するために行います。

注腸X線造影検査

大腸の病変を調べる検査です。粘膜の状態、潰瘍・狭窄・瘻孔の有無、病変の範囲などを調べます。肛門からカテーテルを挿入して、バリウムと空気を注入することで大腸のX線写真を撮ります。

小腸X線造影検査

小腸の病変を調べる検査です。バリウムを口から飲むか、十二指腸までチューブを挿入してバリウムを注入し、X線写真を撮ります。

内視鏡検査

症状や血液検査によって経過を観察しますが、適切な治療内容を決定するためには、内視鏡検査で病変の状態を的確に把握することが必要となります。

小腸や大腸の病変を観察するとともに生検(顕微鏡で調べるための組織サンプルの切除)を行ったりします。これまでは大腸の検査が中心でしたが、近年の技術の進歩によりカプセル内視鏡やバルーン内視鏡が発明され、小腸の検査が可能になりました。

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