みんなの暮らしと工夫

就労の悩み③

ほかの患者さんの経験を知ることで、自分の悩みを解決する糸口を見つけたり、ヒントを得ることができます。是非、ご参考ください。

前へ
次へ

『IBDとともに働き続けるコツ〜就職活動編〜』パネルディスカッション

ファシリテーター 就労支援ネットワークONE代表 中金竜次さん

パネリスト

きっしーさん(30代)製薬会社の営業職。大学在学中、19歳の時に潰瘍性大腸炎を発症し、就職活動を行った。 のめさん(20代)15歳で潰瘍性大腸炎を発症。2021年に就職活動を行い、通信業界の企業に就職したばかり。 そういちろうさん(30代)15歳の時に潰瘍性大腸炎を発症。転職の経験もあり、現在は技術系の公務員。

※パネリスト名は、すべてハンドルネームです。

[テーマ1]就職活動につきものの自己分析に関して、意識したことや工夫したことはありますか?

「強みと弱みを確認した」

自分にとって何が一番大事なのかということをベースに、どのような仕事に就きたいかを考えた。その中で自分にどんな強みや弱点があるか、棚卸しをしていった。病気を抱えながら希望の仕事ができるのかどうか、情報収集しながら就職活動していた。

「面接で使う言葉を準備した」

自分が育った家庭や、自分の性格、行動を振り返って、こんな分岐点があったということをグラフにした。自分の性格を言語化するのが難しいと実感したため、とにかく気になった言葉をたくさん書き並べ、そこからピックアップして面接の時に使っていた。

「弱みは強みを引き立てると考えた」

自分の強みや弱みを、紙に箇条書きにした。これまでの人生を振り返って何をしてきたかというのを一つずつ掘り下げながら考えないと、自己分析できない。弱みも必ずしも悪いことではなく、見方によっては強みを引き立てることもできると考え、就職活動に臨んだ。

【自己分析】
ディスカッションサマリー

・自身のこれまでを振り返って書き出す
・病気のことを踏まえて情報収集をする

自分を分析するって、本当に難しいことだと思います。さらに病気を抱えていると、病気の特性やご自身の状態の分析も必要になってきます。皆さん前向きに情報収集したり作戦を考えたりして、就職活動されたことがわかりました。

[テーマ2]就職活動のどのタイミングで、疾患について会社に伝えましたか?

「面接の時に伝えた」

面接で「健康上で気になることがありますか?」と聞かれた時に、答えるようにしていた。体調が悪くなるとトイレの回数が多くなるなどの症状が起こる炎症性腸疾患であることを伝えたところ、面接企業は製薬会社のため、疾患の理解があり、大きく驚かれることはなかった。

「エントリーシートに書いた」

大学時代にヘルスケアに興味があって関連する活動をしていたが、その経歴をエントリーシートに書く時に、自分も患者であることを添えていた。ある程度症状がコントロールできているし、活動に制限があるわけではないので、「これだけ活動してきた」という伝え方をした。

「転職時、エントリーシートに書いた」

最初の就職の時は、病気で不利になるのが怖くて開示できなかった。でも6年間も入院することもなく働けて、仕事も頑張ってきたという自信もついていたので、転職時のエントリーシートに病気のことを書く欄があったので記入した。「病気だけれども自分なりの対処法がある、体調が悪くなるとご迷惑をかけるかもしれないが、今までこれだけ頑張ってこれた」と伝えたところ、面接官の方にわかっていただけた。

【開示のタイミング】
ディスカッションサマリー

・面接時に伝える
・エントリーシートに記入する

就職活動を控えた方は「いつ開示しよう」と悩んでいる方も多いようです。パネリストのみなさんもそうですが、いろんな方に話を聞いたところ、就職活動時に病気を開示する方が年々増えている印象を受けます。

[テーマ3]仕事をするなかで、困ったことや工夫していることはありますか?

「病気の開示がプラスに働いている」

上司にはもちろん、周囲にも病気のことは伝えているので、何かあった時には手を差し伸べてくれる方もいらっしゃる。ただ営業職なので、出先でもよおした時が困る。営業ルートで、行きやすいトイレがあるかをあらかじめ確認している。

「今後のために上司に開示を」

まだ入社して数ヶ月目で、人事には病気のことを伝えているが、直属の上司にはまだ言えていない。営業職でたまに外出することはあるが、トイレに行きたい時に行けてはいる。でも今後症状が悪化した場合を考えて、上司にも伝えようと思う。

「お互いに配慮し合う」

最初の就職の時に、上司には病気のことを伝えていたので、毎月の出張を近場にしてもらうなどの配慮をしてもらえた。転職した今の職場にはIBDの方が何人かいて、「大丈夫?」と声をかけてもらえる。こちらも、IBDの方と一緒に外出する時には「休憩をはさみましょうか」と言ったり、入院で休む人がいたらできる限りサポートしたりして、お互いに助け合うよう努めている。

【業務上の工夫】
ディスカッションサマリー

・体調が悪化した時を考えて、病気を開示しておく
・配慮し合える関係を築く

お手洗いのことで苦労されている方が多いですね。でもご自身なりの工夫をされていたり、職場の方々と配慮し合ったりして、お仕事されていることがわかりました。

[テーマ4]IBD患者にとって働きやすい仕事、働き方とは、どのようなものでしょうか?

「ゆとりあるスケジュールを立てる」

自分の裁量で1日のスケジュールが組み立てられるので、トイレも好きなタイミングで行ける。病気であるなしに関わらず、1日のスケジュールはゆとりをもたせてしっかり組み立てておくことが大事だと思う。イレギュラーなことがあっても、対応できるので。最初からアクセル全開でやろうとすると体調を崩しがちになるので、8〜9分目くらいの気持ちで仕事をすればいいかなと思う。

「ほぼリモートワークに」

お客様との用事がなければ、在宅ワークもOKという環境になってきている。今では商談の9割以上がリモートに。就職活動中から「外回りしかしません」という営業はしたくないと思っていたが、働いてみると外出しなくてはいけないシーンがほとんどないので、不安はあまりない。

「福利厚生が整っている」

技術系の公務員をしていて、およそ2年ごとに異動したため、大変な部分もあった。仕事は大変だが、休みは取りやすく、福利厚生の面でも安心している。

【働きやすさ】
ディスカッションサマリー

・ムリのない働き方を作る・選ぶとよい
・福利厚生が整っていると安心

企業の規模の大小や、その会社のカルチャー、ダイバーシティや業務支援の取り組みなど、働く環境はさまざまです。その中でみなさんなりの働き方を見つけて頑張っていらっしゃるんだなと感じました。

[テーマ5]学業と就職活動の両立、モチベーションの維持や体調管理について、工夫したことはありますか?

「体調管理を万全にして就職活動に専念」

大学在学中、就職活動をする直前くらいに入院したため、インターンにも行けなかった。ただ単位だけは取っていたので、退院後にはしっかり体調をコントロールしながら就職活動に専念できたのでよかった。就職活動には勉強だけでなく、体調管理が大切だと実感した。

「素直に割り切る気持ちを」

高校受験の直前に発症した経験がある。受験や就職活動は緊張による疲労がたまるので、体調が落ちるのは間違いないと思う。でもそれは受け入れざるを得ないので、素直に割り切る。体調が悪くなるのも仕方ないという、割り切りをもって臨むしかないと思う。

「仕事に対する強い気持ちを持つ」

大学の研究室の先生に病気のことを伝えて、卒業論文に取り掛かりやすい体制づくりをした。就職活動については1年間の自己分析を通してやりたい仕事が見えたので、「どうしてもここに就職したい」という強い気持ちを持って乗り越えた。

【学業と就職活動、
体調維持について】
ディスカッションサマリー

・体調を万全にして、モチベーションを維持
・体調が悪い時は素直に受け入れる

体調を万全にするために努力はするけれども、それでも調子を崩してしまった場合には素直に受け入れるとよいという考え方は、少し肩の力も抜けるかもしれないという感想を持ちました。

これから就職活動を始める方、そのご家族へのメッセージ

これから就職活動という方、また転職を考えている方もいらっしゃると思います。
最後に、そんな方たちやそのご家族に、お一人ずつメッセージをお願いします。

どんな仕事をしたいかということは、軸として持ってほしい。ただ、入ろうと思っている企業がどんな風土・社風なのかは、なかなか知ることが難しいので、企業の知人や大学のOB、OGなどから情報を得ることが大切になってくる。さまざまな情報があれば、入社して「こんなはずじゃなかった」ということは回避できると思う。

病気と付き合って丸9年たつが、患ったことで職業の選択肢が狭まってしまうという心配はあった。でも今は、病気の人も認められる社会に向かっていると思う。あまり塞ぎ込まずに、やってみたい思いがあれば飛び込んでみてもいいのではないか。実際、何とかなってきた9年間だったので、病気に囚われすぎないよう就職活動や試験に臨むのがよいと考えている。

IBDでも症状はさまざまなので一概にはいえないが、個人的に何をしたいかを決めることが大事だと思う。好きなこと、好きになれる仕事でないと続かない。好きな仕事に就くには好奇心を持つことと自己分析が必須。自分とはどんな人間なのか見つめる、時には人から聞いてみるのも一つの方法だと思う。人と接して、話して、自分を知って、やりたい仕事を見つけてもらいたい。

クローン病サイトTOPへ
「おしりの悩みチェック」おしりや肛門で気になる症状がある方は、チェックシートを活用して、医師に相談しましょう。
ページトップへ